株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所
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ハードウェアの進歩は非常に小型のコンピュータ(携帯型、さらには着用型)の 実現を可能にしました。 そして、これらの新しいコンピュータを真に有効に活用するために、 従来型のユーザインタフェース技法、たとえばGUI(Graphical User Interface)や デスクトップ・メタファといった概念を越えた新しいHCI技術が望まれています。 ヒューマンインタフェースの世界では、80年代のGUIへのシフトに匹敵する 大きな技術の転換が起きようとしています。
このような時代背景を前提として、私の研究では、従来の操作指向型の 対話スタイルに変わる、状況認識や実世界指向という概念で象徴される 新しいHCIスタイルの確立を目標としています。 このような概念を持つコンピュータが実現されると、利用者の実世界での生活は コンピュータによって自然に支援されるようになるでしょう。 種々の認識手段によって、コンピュータは利用者の置かれている状況を察知し、 利用者からの明示的な操作指令がない場合でもそれを推測し、 適切な情報提示や支援を利用者に対して行なうことが可能になります。 近い将来、このようなコンピュータは現在のウォークマン、眼鏡、補聴器、 そして腕時計といった機器と同じように、日常的なものとなるでしょう。
(CSL紹介パンフレットより)
私の研究の中心的なテーマは、人間とコンピュータ(あるい はコンピュータに象徴されるテクノロジー一般)との新しい関係を確立すると いうことです。携帯型コンピュータや、家電製品に埋め込まれた無数のコンピュー タ群のように、コンピュータの形態は非常に多様なものとなってきています。 一方で、いわゆるユーザインタフェースの分野では、ここ10年程度は、GUI、 すなわちMacintoshやWindowsにみられるようなアイコンやマウスの組み合わせ によるインタフェースのレベルから本質的な進歩は見られません。私の着眼点 は、現実世界における人間の状況、たとえば近くにある現実のオブジェクトの 情報や、位置情報などを積極的にコンピュータへの入力として利用することで、 より自然なインタフェースが構築できないか、ということです。
私の研究のもうひとつの視点は、仮想世界と現実世界の融合という発想です。 Internetに代表されるような、コンピュータ上の空間というのは現実世界と無 関係に存在するのでは決してなく、むしろ密接な関連をもっています。たとえ ばプリントアウトされた文書は、元となるオンラインのファイルを持っていま すし、建造物、場所、人物、に対応しているWWWのホームページも無数にあり ます。コンピュータに現実世界での状況認識能力を与えることで、現実と仮想 という二つの世界をつなぐリンクの機能を果たすようになるでしょう。
こういった発想に基づいて、GUIの次の世代のユーザインタフェースと考え られる、「実世界指向インタフェース」と呼ぶコンセプトを提案し、またその 考えに沿った一連の研究活動を展開しています。
(SpaceDesign 97/04 岡 正明氏との対談 「拡張する実空間」より)
ヒューマンインタフェース全般。特に、 実世界指向インタフェース、 拡張現実感、ウェアラブルコンピューティング、テレプレゼンス、 情報視覚化、3次元対話技術、など。 建築とメディアの融合、インタラクティブ・アートにも興味をもつ。
ほぼ新しいもの順に並んでいます.
$Id: rekimoto.j.html,v 1.2 1998/12/26 16:22:40 rekimoto Exp rekimoto $