ThumbSense はタッチパッド用の新しい対話技法およびそれを実現するソフトウェアです。
タッチパッドはトラックポイントと並びノートパソコンなど携帯用機器のポインティングデバイスとして広く普及・利用されています。しかし、「キーボードのホームポジションから手を離さないと操作できない」という問題がありました。ThumbSense はこの欠点を克服することを目標とした対話技法とそれを実現するソフトウェアです。
基本的なアイデアはシンプルで、キーボード上のキーをマウスボタンとして兼用します。たとえばＦやＪキーなどホームポジションの人差し指に相当するキーをマウスボタンの左（第１）ボタンに、ＤやＫなど中指の場所のキーをマウスの右ボタンに割り当てることで、キーボードのホームポジションに手を置いたままでタッチパッドを操作することができます。
それでは普通のテキスト入力はどうなるのかというと、これもそのまま入力することが可能です。Ｆキーも普通に打鍵してfを入力することができます。特別なモード切り替えのコマンドは必要ありません。ThumbSenseでは、指がタッチパッドに触れている、という状態を認識して、文字打鍵モードとタッチパッド操作モードを自動的に判別しています。つまり、タッチパッドに指が触れている間はＦキーはマウスボタンとして機能し、指が離れると通常のキーボードキーとして機能するようになります（実際はもう少し細かい状態遷移を行なって、ユーザからみてできるだけ「透明」なインタフェースになるように工夫されています）。
この方式は、タッチパッドをShift, Ctrl, Altキーと並ぶあらたなモディファイア （修飾）キーとして使う方式と考えることもでき、さまざまなショートカットをキーに 割り当てることも可能です。また、タッチパッド上の指の動きと組み合わせることで、候補選択、ズーミング制御などの様々な対話技法を利用することが可能になります。
現在、WindowsXP用のThumbSenseソフトウェアが動作しています。Synaptics社のタッチパッド採用のノートPC(DELL, Compaq, Sharp, Panasonic, Samsungなど)およびALPS社のglidepoint採用のノートPC(Sony, 東芝, NECなど)に対応しています。
からファイルを
ダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを解凍し、 tsense.exe をダブルクリックして起動します。タッチパッドを認識すると、"Synaptics (ALPS) detected" というメッセージが表示されます。最小化ボタン、あるいはGoto Tasktray ボタンのクリックでタスクバーに移動します。EXITボタンのクリックで終了します。
タッチパッドに指が触れている場合、以下のキーが特別な意味を持つように
なります。その他のキーは通常通り。また修飾キー(CTRL, SHIFT, ALT)が押されている
場合もそのまま解釈します。キーアサインはtsense.iniファイルを編集することで
変更可能です。標準状態では以下のようなキーアサインに
なっています。
キーの割り当てはtsense.exeと同じディレクトリに置かれた、tsense.ini
というファイルで定義してあります。テキストファイルですので通常のエディタ
で編集してください（カスタマイズコマンドはtsense.iniファイルのコメントを
参照してください）。編集後、tsense.exeを終了・再起動するか、Reloadボタンを
クリックすることで定義が読み込まれます。読み込んだ定義はlog.txtというファイル
にもセーブしますので、設定が正しく読み込まれたかどうかを確認できます。
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 (暦本純一)
開発途上試作版なので機能不足やバグ残留の可能性があります。お気づきの点はrekimoto@csl.sony.co.jp までご連絡下さい。また、本ソフトウェアを利用したことによるいかなる結果については一切の責任を負いません
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